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企業がカーボンニュートラル実現に向けてできることとは?:コラム

企業によるCO2排出量開示の重要性と削減に向けた取り組みを紹介

ゲリラ豪雨、大洪水、連続猛暑日、大寒波など地球温暖化の影響が年々深刻さを増す中、人々の安心した生活を築いていくために、企業によるカーボンニュートラルへの取り組みが求められています。
カーボンニュートラルを達成することは難しいと感じるかもしれませんが、まずは知識を深め、できることからはじめてみてはいかがでしょうか?
本記事では、カーボンニュートラルの概要や企業が取り組む意義、そして企業による CO₂排出量の開示と削減活動について解説します。

カーボンニュートラルの定義と目的

カーボンニュートラルとは

環境に悪影響を与える温室効果ガスの排出量を実質的にゼロにすることを指します。

「ネットゼロ」とも言われ、人々の活動によって生み出される温室効果ガスを、植林や再生可能エネルギーの使用といった温室効果ガスの吸収・削減をする取り組みを行うことで、プラスマイナスゼロにすることです。

カーボンニュートラルとは

温室効果ガス(GHG)とは

温室効果ガス(GHG=Greenhouse Gus)とは、大気中の熱を吸収する性質を持ち、地球温暖化の原因とされるガスです。代表的な温室効果ガスは7種あり、その76%を占めるのが二酸化炭素(CO₂)です。他にはメタン、一酸化二窒素、六フッ化硫黄、パーフルオロカーボン類、ハイドロフルオロカーボン類、三フッ化窒素と呼ばれるものがあります。それぞれ性質や発生源、温室効果は異なりますが、いずれも地球温暖化に大きく影響を及ぼすガスとされています。
そのため、地球温暖化による気候変動や自然環境の破壊が進む現代において、温室効果ガス排出量削減は喫緊の課題とされております。

日本国内では、2050年までにカーボンニュートラルを達成することを目標に掲げ、脱炭素に向けた取り組みが進んでおり、再⽣可能エネルギーの利用促進やエネルギー効率の向上、「環境価値」の取引が行える制度の整備などが行われています。

企業とカーボンニュートラル

環境配慮は企業にとって重要な役割です。カーボンニュートラルの推進をコストと捉えるのではなく新たな機会として捉え、新製品の開発や⽣産性の向上など、新たな価値を創造するための活動が求められています。
企業がカーボンニュートラルに取り組むことで、環境への負荷を低減し経済的な健全性を確保できるだけでなく、企業の競争力の向上や顧客や投資家からの信頼を高めることができます。

企業によるCO₂排出量の開示(Scope1,2,3)

環境問題が重要視されている今、企業においてCO₂排出量の開示は重要な義務となっています。企業は持続的な経営のために、サプライチェーン全体のCO₂排出の全体像(排出総量、排出源ごとの排出割合)を把握し、優先的に削減すべき対象の特定や削減努⼒が求められています。
GHGプロトコル*によれば、サプライチェーンのCO₂排出量の算定・報告はScope1, 2, 3の合計量によって行われます。したがって、各領域に合った対処策の実施が求められています。

*サプライチェーンのCO₂排出量の算定・報告を定める世界的な基準・ガイドライン

GHGプロトコルとScope1, 2, 3

GHGプロトコルでは、サプライチェーンのCO₂排出を3つのスコープ(Scope1, 2, 3)に分類しています。

GHGプロトコル

Scope1:事業者自らによる直接排出

Scope1は、企業自体が直接的に発生させるCO₂排出を指します。
例)工場や施設の燃焼による排出など。

Scope2:エネルギー使用に伴う間接排出

Scope2は、企業が消費する電力や蒸気などのエネルギー使用によって間接的に発生するCO₂排出を指します。
例)購入した電力やエネルギーの生成過程による排出など。

Scope3: その他の間接排出

Scope3は、企業の活動に関連するその他の全ての温室効果ガス排出を指します。
例)原材料の調達や製品の輸送、顧客の製品利用時の排出など

CO₂排出量の算出方法

企業のGHG排出量の算定方法は、「活動量」×「排出原単位」となります。
「活動量」:事業者の活動やプロセスの規模に関連する量(例:エネルギー使用量、生産量)
「排出原単位」:活動量当たりのCO₂排出量(例:電気1kWh使用したあたりのCO₂排出量)
これをかけ合わせることで、事業活動からのGHG排出量が算出されます。

例えば、燃料の燃焼(活動量)によって発生するCO₂の量(排出原単位)を計算し、その結果を合計することで、企業の総排出量が算定されます。

CO₂排出量の算出方法

※現在、日本国内では環境省によって定められた排出原単位による算定・報告を行っておりますが、排出原単位は国によって異なります。

Scope1, 2, 3の合計量で表されるサプライチェーン全体のCO₂排出量の開示のためにも、各企業がGHG排出量を可視化することが重要となります。

企業によるカーボンニュートラルに向けた削減活動

GHG排出量の可視化によって、企業は環境負荷を理解し、CO₂削減に向けた変革や持続可能な戦略を策定する機会になるでしょう。しかし、前章でScopeごとに対応策が必要であると挙げた通り、CO₂削減といっても自社だけで貢献できること、他社と協力し合ってカーボンニュートラルを目指すものの二つがあります。

Scope1とScope2は企業の直接的な活動に起因するCO₂排出を指します。
そのためScope1では事業者自らによる直接排出の削減に向けて、自社設備の省エネ化や再生可能エネルギーの導入、生産プロセスの最適化などが実施可能です。
また、Scope2では、再生可能エネルギーの購入やエネルギー効率向上の取り組みによって、企業が消費する電力やエネルギーの脱炭素化が行えます。

一方で、Scope3では、企業の活動に関連するその他のGHG排出削減を目指すことになるためサプイチェーン全体での排出量削減を目指す必要があります。
透明な情報共有や、共同して削減活動に取り組むために企業同士の連携が不可欠となり、多数のプレイヤーが関わることからもScope3のカーボンニュートラル達成は非常に困難であるとされています。

まとめ

カーボンニュートラルは、地球環境を守り、持続可能な社会を実現するための重要な取り組みです。
持続可能な社会に向けて企業のCO₂排出量の開示が義務付けられている今、企業は開示をするだけではなく、排出量削減に向けてScopeごとに対応した適切な活動をサプライチェーン全体で行うことが求められています。

BIPROGYグループでは、カーボンニュートラルに関する取り組みを⽀援する多種多様なサービスを提供しています。お客さまのニーズに適う最適なソリューションの提供を通して、カーボンニュートラルへの取り組みをサポートいたします。